中子沼(堤)と中沢川
受益面積:5町
満水面積:5,292u
有効貯水量:164,000?
満水位:3.1m
タイプ:谷池
 地域では堤と呼ばれ農民らにとって大切な灌漑用の溜池で、中沢川(※1)の水量が少なく、田植え時期の水不足対策として江戸時代末期に造成され、その後の拡張、改修を経ており、堰堤の石碑には昭和18年(1943)の改修工事の際、1名殉職と記されている。
(ア)中沢川は上流域の沢筋が浅く水量が安定しないため、法華沢(沼田街道米野宿の東北から分水し米野宿を横断して)の水を導水している。
 なお、米野宿一帯は高台で川が無いので、防火用水路として備えたとも云われている。
(イ)中子沼の清掃は年に一度、沼の底に溜まった砂や埜呂(※2)を流し出すため、貯水を全て流し沼は干潟状になり、土手際の砂地でシジミがいっぱい採れたと云う。
 夏は子供達が水浴びをしていたが、昭和30年(1955)代から令和2年(2020)まで鯉の養殖場に使われていた。
(ウ)沼の水は、田口地内に8か所(沼堤下、入田1、2、ほたるの里脇、崖の坂下、大正用水上、中央水車跡、芝木谷)の水路取水口を備え田口の稲作に広く使われていた。
 また、中沢川は夕立や豪雨で溢れ、芝木谷地区で浸水被害が多発していたため、大正用水の水路橋の脇に放水口を開け、十王堂跡(標柱11)南の十字路から片石広場へ向かう道路下へ桃ノ木川への導水路を設けて水害対策が施されている。
 一方で、水不足解消のため、大正用水の壁に導水口(20cm程)を付け、滝下へ通水して水不足の解消も図っている。(そのためか、秋口には滝下にアユの魚影が見られる)

(※1)中沢川:十王堂の横を流れていることから十王川とも云われ、これが転訛して通称「じょっかわ」と呼んでいる。
(※2)埜呂(のろ):水分が多い泥